「相性がいい人」を
探し続ける現代人
「相性がいい人と出会いたい」。
恋愛において、これほど自然に聞こえる願望はないのではないでしょうか。
マッチングアプリの相性スコア。性格診断による価値観マッチング。AIが導き出す「あなたにぴったりの相手」。私たちはいつの間にか、恋愛の入口に”相性”という関門を設けるようになりました。
誤解しないでください。相性は、たしかに存在します。好きな食べ物が合う心地よさ、映画の感想を共有できる喜び、嫌いなものが似ている安心感。こうした感覚的な”合う・合わない”は、人間関係の快適さを左右する大切な要素です。
ただ、ひとつだけ立ち止まって考えてみたいことがあります。その相性は、出会う前に、アルゴリズムで本当に予測できるものなのでしょうか。
2つの”相性”
― 測れるものと、測れないもの
相性について考えるとき、私たちは大きく異なる2つのものを、同じ言葉でひとまとめにしてしまっています。
Surface
表層の相性
プロフィール上の属性や条件の一致。データとして記述でき、フィルタリングが可能です。
Deep
深層の相性
一緒に時間を過ごす中で初めて立ち現れる感覚。データ化できず、体験の中でしか確認できません。
表層の相性は、たしかに意味があります。食の好みが真逆の二人は、毎日の食事で小さなストレスを抱えるかもしれません。インドア派とアウトドア派では、休日の過ごし方にすれ違いが生まれるかもしれません。こうした日常レベルの心地よさに、条件の一致が寄与することを否定するつもりはありません。
しかし、長い時間をともに過ごしたカップルが振り返って「この人と合う」と感じるとき、それは趣味や条件の一致だけを指しているわけではありません。意見がぶつかったときの向き合い方、疲れているときに見せる素の表情、何気ない日常の中で感じる安心感 ― そうした深層の相性こそが、関係の土台を支えています。
そして、アルゴリズムが予測できるのは、おそらく前者に限られています。
アルゴリズムが
“測れないもの”の正体
では、なぜアルゴリズムは深層の相性を予測できないのでしょうか。3つの理由を考えてみます。
深層の相性は
“体験の中”でしか生まれない
心理学の研究は、関係の満足度を左右するのは初期の類似性よりも、ともに過ごした時間の中で積み重ねた「共有体験の質」であることを示しています。深層の相性は、最初から”ある”ものではなく、二人の間で”育つ”ものなのかもしれません。だとすれば、まだ会ってもいない段階で、それを数値化するのは難しいのではないでしょうか。
人を好きになる理由の大半は
データベースに存在しない
声のトーン、話を聞くときの目の動き、冗談を言った後の間の取り方。人が人を好きになる瞬間の大半は、プロフィール欄のどこにも書かれていません。アルゴリズムは”似ている人”を見つけることは得意です。でも、”好きになる人”を見つけられるかというと、それはまた別の話ではないでしょうか。趣味が合うことは会話のきっかけにはなっても、その人を好きになる理由とは限りません。
“相性がいい”は
原因ではなく結果
長く付き合っているカップルに「なぜうまくいっているか」と聞けば、多くが「相性が良かったから」と答えます。でも、ふと考えてみると、これは少し不思議な話です。うまくいった結果を、「相性」という言葉で後から意味づけている部分もあるのではないでしょうか。もし同じ二人が別のタイミングで出会っていたら、違った印象を持っていた可能性だってあります。
相性スコアが生む
静かな共犯関係
では、なぜマッチングアプリは「相性」を前面に打ち出すのでしょうか。
ひとつには、数値化できるものは課金導線に組み込みやすい、という構造的な理由がありそうです。「相性95%の相手がいます。見るにはプレミアムプランへ」。この構造に違和感を覚える人は少ないかもしれません。なぜなら、私たちは「相性が数値で測れる」という前提をすでに受け入れてしまっているからです。
Insight
ユーザー側にとっても、相性スコアは心地よい仕組みかもしれません。マッチングしなかった相手を「相性が悪かっただけ」と処理できれば、自尊心は傷つかずに済みます。自分が選ばれなかった理由を、人格の問題ではなく”数値の不一致”として受け止められます。こうして、アプリとユーザーの間には、”相性”という概念を軸にした暗黙の了解のようなものが生まれているのかもしれません。
結果として何が起きるでしょうか。人はより精度の高い相性予測を求め続けます。もっと多くの質問に答え、もっと詳細なプロフィールを入力し、もっと高額なプランに課金する。しかし、どれだけアルゴリズムの精度が上がったとしても、「この人と幸せになれるかどうか」を事前に知ることは、きっと難しいのです。なぜなら、それは二人がこれから何を積み重ねるかによって変わっていくものだから。
相性を”予測”するのではなく
“発見”する
相性を否定したいわけではありません。
相性は存在しますし、大切なものです。
ただ、その相性を知る方法は、スコアを眺めることではないような気がします。実際に相手の言葉に触れ、考え方を知り、小さなすれ違いを経験し、それでも「もう少し話したい」と思えるかどうか。その繰り返しの中で、相性は自然と”発見”されていくのではないでしょうか。
STORYBOOKが5段階の関係構築プロセスを設計しているのは、まさにこの考えに基づいています。相性スコアで相手を選ぶのではなく、物語を通じて相手を知る過程そのものの中に、本当の相性が立ち現れてくる。趣味の一致も、価値観の近さも、対話の中で自然と見えてきます。それはスコアで予告されるよりも、ずっと確かな手触りを持っています。
相性は、出会う前に測るものではなく、
ともに過ごす中で見つけるもの。
その”発見のプロセス”を信じられるかどうかが、
恋愛の分岐点なのかもしれません。
相性の”測り方”を
間違えないために
私たちは、相性という概念そのものを捨てる必要はありません。
好きな映画の話で盛り上がれること。食事の好みが似ていること。休日の過ごし方にストレスがないこと。こうした表層の相性は、日々の暮らしに確かな心地よさをもたらします。それ自体は、かけがえのないことです。
ただ、表層の一致だけで「この人だ」と判断してしまうと、相手を一人の人間としてではなく、条件の集合体として見てしまうことにもなりかねません。
本当に大切なのは、条件が合う相手を見つけることよりも、一緒にいる中で深層の相性が育っていく相手と出会えるかどうかなのかもしれません。そしてそれは、アルゴリズムが事前に教えてくれるものではなさそうです。
不確かで、時間がかかって、非効率かもしれません。
でも、だからこそ人は誰かを好きになることに意味を見出すのだと思います。
“相性”を信じることをやめる必要はありません。
ただ、その測り方を — 少しだけ、変えてみませんか。
物語から始まる、新しい出会いの形
STORYBOOKは、スコアではなく「物語」で相性を発見するアプリです。
5段階の関係構築プロセスの中で、本当の相性に出会う。