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私たちは、自分の”好み”を自分で語れているだろうか

Storybook
A Column

私たちは、自分の“好み”
自分で語れているだろうか。

Category恋愛 Published2026.04.19 Read6 min

「理想の相手は?」

この問いに、これまで何度、言葉を詰まらせてきたでしょうか。

友人との雑談で、合コンで、マッチングアプリのプロフィール欄で──どこかで不意に飛んでくるこの質問に、多くの人が“それっぽい答え”を用意してやり過ごしてきたのではないでしょうか。

「優しい人」「価値観が合う人」「一緒にいて楽な人」──嘘ではないけれど、本当でもない。自分で掘り下げて出てきた言葉ではないからです。

似たようなことは、恋愛に限らず起きているのかもしれません。「どんな仕事がしたい?」「どんな暮らしが理想?」「休日、何してるのが好き?」──自分のことを言葉にする瞬間に、ふと足が止まる。あの感覚に、覚えがある人は少なくないように思います。

Chapter · I

SNSで好みの“断片”を集める、わたしたち

✦ ✦ ✦

なぜ、こんなに自分の理想を語れないのでしょうか。

最近、答えの一つが見えてきたように思います。私たちは、自分の好みを「自分で作っていない」のかもしれない、ということです。

TikTokで流れてくる「こんな人が彼氏だったら最高」という動画に、うんうんと頷く。Xで“共感の嵐”になっている理想像に、いいねを押す。Instagramで見つけた誰かの恋人観に、しっくりきたと感じる。そうやって集めた断片を、いつの間にか自分の好みだと思い込んでいます。

でも、それは収集した好みであって、作った好みではありません。

Figure I — Collect vs. Cultivate
? 収集した “好み” 育てた “好み”
From Fragments — to Dialogue

借り物の言葉で理想を描こうとすると、口に出した瞬間に、どこかで違和感が残る。違和感があるから語れない。語れないから探せない。探せないから見つからない──そんな悪循環に、静かに入り込んでいるのかもしれません。

SNSから“理想の答え”を集めるほど、
皮肉にも、自分の理想から遠ざかっていく。
Chapter · II

答えを収集する場所ではなく、言葉を育てる場所

✦ ✦ ✦

この悪循環から抜けるには、順番を逆にするしかないのかもしれません。

誰かの“しっくりくる言葉”を探すのではなく、自分の言葉で、一度、ゼロから掘ってみる。時間はかかります。一人でやろうとすると、たいてい途中で止まってしまう。だからこそ、誰かとの対話のなかで少しずつ言葉にしていく──そんなやり方しかないのかもしれない、と思うようになりました。

STORYBOOKを使ってくださったある方から、こんな言葉をいただいたことがあります。

A User’s Voice

〇〇さんの〇〇という夢に共感しました──そんな書き出しでチャットが始まるマッチングアプリは、たぶんSTORYBOOKだけだと思う

Received from a user

この短い一文のなかに、STORYBOOKが大切にしているものの本質が滲んでいるように思います。

STORYBOOKでは、入会審査のときに、自分のを書いていただきます。それは「どんな相手が理想か」という他人起点の問いではなく、「自分はどんな未来を描きたいか」という内側への問いです。

そうして書いた夢は、マッチング後の会話のきっかけになります。「〇〇さんの〇〇という夢、ちょっと分かる気がします」──そんな書き出しからやりとりが始まる。そこには、プロフィールのスペック比較から始まる会話とは別の空気が流れている、ように思います。

そして不思議なのは、相手と夢について話しているうちに、自分が何を描きたかったのか、その輪郭が少しずつ見えてくることです。一人で考えていたときにはぼんやりしていた思いが、「それってどういうこと?」と聞かれて初めて言葉になる。借り物ではない、自分の言葉として。

Chapter · III

自分の言葉は、対話の中でしか育たない

✦ ✦ ✦

ここまで書いてきて、ひとつ、自分なりに辿りついた答えがあります。

なぜ、“夢を話せる相手”が大切なのか──。

それはたぶん、夢を話すという行為が、自分のまだ固まっていない部分を相手の前で組み立てる作業だからです。完成された自分ではなく、未完成のまま揺れている自分を見せる。そういう関係でないと、そもそも夢は言葉にならない。

逆に言えば、“完成された自分”しか見せられない関係は、どこかで息切れしていくのかもしれません。どちらかが少しでも変化した瞬間に、共有していた“固まった自分”が合わなくなるからです。

夢を話せる相手の前でだけ、私たちは変化していく自分を一緒に見ていける。そしてその関係の中でだけ、自分の言葉は、借り物から少しずつ自分のものに育っていく。

スペックが合うかどうかより、夢を話せるかどうか──これが、長く続く関係の一つの条件なのではないでしょうか。

「理想の相手は?」と聞かれて言葉に詰まったあの夜、必要だったのは、もっと上手な答え方ではなかったのかもしれません。

必要だったのは、答えを収集する場所ではなく──自分の言葉を育てていく場所だったのだと思います。

FIN

STORYBOOKが、誰かにとって
そんな場所になれたら──
そう願いながら、
今日もこのサービスを作っています。

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